MATERIAL & TECHNOLOGY 素材と技術

素材 × 技術 × 想い

森林、紙の糸、伝統織物、そして人の想いーすべてがつながり、一枚の布となります。
この製品は、単なる「ものづくり」ではありません。
「誰が、どこで、どんな想いで」つくったのか。自然や地域に負荷をかけずに未来へと手渡せるか。
そのすべてを、私たちは一枚の布に込めています。

未利用木材とは

木材を育てる過程で発生する根本部分や枝葉など、これまで活用されてこなかった部分です。未利用木材が森林に残されていると、台風や大雨、森林火災などの際に被害を拡大させるおそれがあります。
Lignoessenceは、森に眠る使われていなかった木材に、もう一度いのちを与えたいと考えました。
そうして生まれたのが「紙の糸」です。

紙の糸の歴史

紙の糸は「和紙糸」「抄織糸」とも呼ばれ、奈良時代から使われてきた長い歴史をもちます。綿糸や絹糸が手に入りにくかった山陰や東北地方では、農家の人々が反故紙を使って糸をつくっていました。
紙の糸で織られた紙布(しふ)は、江戸時代には全国の紙の産地で織られていました。特に宮城県白石市の紙布は名産品となり、江戸幕府への献上品となっていたほどです。

Lignoessence
ものづくりの物語

原材料

福島県内で採取された未利用木材を使用しています。
すべての木材は、放射性セシウムの安全性について厳格な検査を受けています。海外基準よりも数倍厳しい日本独自の基準に基づき、複数回の放射線量検査を経て、安全が確認された木材のみが出荷され、製品づくりに使用されています。

抄紙工程

木材はパルプ化され、特殊な抄紙機で繊維の流れの1本1本を縦方向に揃えることで、薄くて均一、そして強靭な原紙へと姿を変えます。この原紙に、0.1mm単位で精密なスリットを施すことで、やがて糸となる繊細なテープ状の紙に生まれ変わります。

撚糸

スリット状に裁断した紙を、一本ずつ丹念にねじり、こよりのように撚りを重ねて糸をつくります。
この原糸は非常に繊細で、わずかな力の加減で切れてしまうほど。
職人はその糸の声に耳を傾けながら、数百回もの撚りを重ね、確かな強度としなやかさを備えた紙糸へと仕上げていきます。

製織

完成した紙糸を湿度と水分を細やかに管理しながら、一本一本織機に通します。
使われるのは、今では希少となった旧式の「シャトル織機」。
ゆっくりとした速度でしか織れない代わりに、糸への負担を最小限に抑え、紙糸特有のやわらかな風合いと高密度な織りを実現します。

Lignoessenceの生地は、長年にわたり技を磨き続けてきた職人たちの手から生まれます。
糸の微細な変化を指先で感じ取りながら、わずかな張り具合や湿度の差を読み取り、織りの調子を整える。その感覚の積み重ねこそが、機械では再現できない美しさを生み出しています。
一枚の布の裏には、受け継がれてきた伝統と、見えないほど緻密な手仕事があります。
森の恵みが職人の技と出会い、静かに息づくようにして生まれたのが、Lignoessenceの生地なのです。

Lignoessenceの
テキスタイル・製品

FAQ

QLignoessence とは何ですか?

福島の未利用木材を活用し、「紙の糸」で織り上げた100%再生可能なサステナブルファブリックを制作しているチーム、会社です。

Q「紙の糸」とはどんな素材ですか?

紙を細く裁断し、撚りをかけて糸にしたものです。軽くて丈夫で、通気性や吸湿性にも優れています。

Qなぜ未利用木材を使うのですか?

森に残された木材は災害時に被害を拡大させる恐れがあります。未利用木材を活用することで、森林保全や循環型社会の実現につながります。

Q福島の復興とどのように関わっていますか?

Lignoessence は震災で失われた森の資源を再生し、地域の雇用や産業を支える取り組みとして生まれました。

QLignoessence の布はどのように作られていますか?

木材のパルプ化 → 紙加工 → 撚糸 → シャトル織機での製織、という伝統と最新技術を組み合わせた工程で生地を織り上げています。

Q一般的な布との違いは何ですか?

再生可能な資源を使っている点に加え、紙ならではの軽さ・強さ・通気性が特徴です。さらに環境負荷が少なく、地域再生にも貢献します。

Q海外からの購入は可能ですか?

はい。英語情報や国際発送にも対応しており、海外の方にも日本発のサステナブルファブリックを届けています。

Q今後どのような展開を予定していますか?

ファッションやインテリア、工芸品など幅広い分野での活用を目指しています。多様な企業やクリエイターと協働し、持続可能なものづくりを広げていきます。